イタリアより

滞在日記

ベッリーニ庭園案内・最後の余白/絞め殺しの木③

ベッリーニ庭園の
イチジクの巨木の説明板によると…

2025.12.21撮影

この木はオーストラリア原産の巨大なイチジクの仲間で、19世紀にシチリアへ導入された。ベッリーニ庭園の木は樹齢約150年、幹の周囲が14m、高さ35mほどある。特徴的なのは空中から伸びる根で、地面に達すると幹のようになって巨大な枝を支える。シチリアでは、その珍しく壮大な姿から、植物園や都市公園に広く植えられた―。

※「現在、市はこの地下で暴れまわる木の根が下水管を壊さないかヒヤヒヤしながら莫大な維持費を注ぎ込んでいます」」なんて書けないよね…。

近代都市の象徴として植樹されたフィカスは、瞬く間に成長し、当初の見込み通り、庭園の見事なシンボルツリーになったことだと思います。が、当時の人たちの知識にはなかった、この木の持つ異様さと恐ろしさは、150年後、やっと知ることになります。

たたんだ傘を置いてみた

2025.12.21撮影

元々のこの木の特性は、熱帯・亜熱帯の森の中で、他の木に絡みつきながら成長していく「strangler fig(ストラングラー・フィグ:絞め殺しイチジク」の仲間です。若木は、時に別の木の枝上で発芽し、そこから地面へ向かって根を伸ばし、その根が太く成長すると、宿主の木を包み込むようにからめて、最後には枯らしてしまうのです。これが「絞め殺しの木」と呼ばれる所以(ゆえん)です。

そして、この木が本当に恐ろしいのは、その地上に現れた姿だけではありません。地下では、巨大な根が広範囲に張り巡らされ、舗装を持ち上げ、排水管に入り込み、時には石やコンクリートさえ押し上げてしまいます。

我が家のクロガネモチ伐採の様子

切断され

クレーンで持ち上げられる木は哀れでした

お神酒を供えて、手を合わせたけれど…

実は、数年前、我が家で、庭に植えたクロガネモチの木を伐採したことがあります。新築の一軒家を購入して、その嬉しさは有頂天―何の知識もないままに、クロガネモチの木を植樹したのです。夏には木陰をつくり、蝉が鳴く立派な木に成長したものの、根は土を持ち上げ、排水管に入り込み、管を破り始めたのです。小さな庭に植えるような樹木ではなかった…若気の至りです―いや無知か。

黄色の丸で囲ったものは巨大化した根
赤色の丸で囲ったものは気根
枝から垂れ下がった気根は地上に達すると
猛烈な勢いで水分を求めながらも
自身の身を守る柱を立てる

空洞化した場所は他の木を
絞め殺してしまった跡かも…
2025.12.21撮影

ベッリーニ庭園で、この巨木を見た時、その異様さに目を見張るとともに、真っ先に思い浮かんだのが、この木が及ぼす周辺への影響でした。目の前の道路や建物群に、恐らく近い将来、我が家に起こった同じことが大規模に生じるのではないか、という気がします。いや、もう現実になっているかも。

上記の説明板には、何も書かれていないけれど、「近代的景観設計」のはずだった植樹が、まさか「破壊行為」に及ぶなんて…。地面の表層に現れる根や枝の変化には気付けても、土の下は分からないもの…。 

♦妄想ストリー

人間たち:早く成長して「未来都市の誇り」となってくれよ。

フィクス:分かったわ。うんと大きくなるわね。楽しみにしていて。

 

きゃーこわっ。-完-