イタリアより

滞在日記

悪魔の絵(アッシジ)


サン・フランチェスコ聖堂

いいお天気になりました!


改めて思うと、アッシジは不思議な町でした。クリスマスが近いオフシーズンだったとはいえ、町の中は静かでどこか心が安らぐような空気がありました。同じキリスト教の巡礼地であるバチカンのような重々しさも圧迫感もなく、それでいて自ずと敬虔な気持ちが湧くような、そんな町の風情でした。やはりこれもサン・フランチェスコの町故に、だからでしょうか。先日、私の友人が、一年に渡る四国巡礼を無事終えたと言って来ましたが、彼女の境地もこんなだったかと、ふと友を思いました。


この坂道を上って…


この坂道(矢印が宿泊先のホテルの私の部屋(^^))を上ってたどり着くのが、サン・フランチェスコ大聖堂です。二日間、何度もこの道を歩きました。ローマからフィレンツェへの途中に立ち寄ることの出来るアッシジですが、例えば半日観光をするなら、真っ先に行くのは、この大聖堂だろうと思います。私も、到着したその日にスーツケースを部屋に投げ入れ、すぐに出掛けました。お天気が少し崩れかかっていて、とにもかくにも、ここだけは、と急いだのです。まさかベネチアのようにアックアアルタの心配はありませんが、山の中の町ゆえに、明日の天気もあてにはなりません。優先順位NO.1のこの聖堂は、行けるときに行っておかねば。ハイ、またまた旅の鉄則です^^;

サン・フランチェスコ大聖堂は、一言で言えば、その名前の通り、聖人フランチェスコの功績を称えて建設された祭礼の祠です。世界遺産ですので、詳しい説明はどこにでも載っていますが、ツアーでなく一人旅で見学する時に大切なことは、上部聖堂の壁面に描かれた「フランチェスコの生涯」のフレスコ画の説明です。

彼の生涯のエピソードが、28場面に渡って描かれていますが、まず、どこから見ていくか。そして一つ一つの場面が何を物語っているかを予め予習していくことをお勧めします。聖堂の入り口を入ったら、右奥から手前に見ていき入口付近をぐるっと回って、左奥に進むのが順路です。昔は字の読めない人たちが沢山居ただろうし、文書で伝えるよりもこうした絵画に描く方がはるかに訴求力がある、きっとこのフレスコ画もそういう意図をもって、長い間人々にフランチェスコの生涯を伝承してきたのでしょう。

そして最近発見された悪魔の絵

雲の中に、わし鼻で角(つの)を持ち、意味ありげにほほ笑む悪魔の横顔…

2011年11月ロイターより

私がイタリアに行く直前に入って来たニュースでした。美術修復家が、このジョットの28枚の壁画の一枚に、「悪魔が描かれている」のを発見したとのことでした。その絵は、第20枚目、「聖フランチェスコの死」と題される場面。天に召されるフランチェスコが描かれていますが、その雲の中に悪魔が微笑んでいるというのです。

勿論、今回私もその絵を見るのを楽しみに(不謹慎ながら^^;)していました。何しろ、世界のニュースになった出来事をかなり早い時点で見に行けるチャンスなのですものね。でも、壁画は、高い位置に描かれていて、自分の目では確認することは出来ませんでした。

宗教画で天国と対に描かれるのが悪魔。しかし、作者ジョットは、自分の描く絵の中に悪魔のイメージを持ち込みたくなかったとか。それで「ちょっとした楽しみで」悪魔を雲の中に描いたのかも知れないと、修復家の責任者は語ったのだそうですが、騙し絵のように、雲の中に隠れた悪魔は、言われなければ気が付かないけれど、一度その姿を見つけてしまえば、それと認識できて何だか妙な気分です。何世紀にもわたって伝えられてきた聖フランチェスコの生涯ですが、誰か一人くらいはこの悪魔に気付いた人はいなかったのでしょうか。

そして、町の中には聖フランチェスコに扮するこんな人も(^^;)




いずれも、当のフランチェスコは天国できっと苦笑していることでしょうね。